もち麦の蒸し方ガイド:吸水方法で変わる味と食感を徹底比較
もち麦を蒸すときに、水に浸けるほうがよいのか、漬けなくてよいのか、よくわからない方も多いと思います。
実は、もち麦の味や食感は、吸水の時間や方法によって大きく違ってくるのです!
今回は「もち麦を蒸す場合」なので、炊飯する場合はこちらがおススメ → 【 4割もち麦ごはんのおいしい炊き方 】
1. もち麦は蒸すとき、水に浸けなくてよい?
スープやサラダ、ごはんにあと混ぜするのに便利な「蒸しもち麦」を作るときに悩むのが、「もち麦は水に浸つける?浸けない?」という問題。
洗ったりせず、そのままでOKと書いているレシピもありますが、実際はどちらのほうが良いのでしょうか?
結論から言うと、もっちりおいしく食べるなら「水浸けあり」がおススメ!
もち麦をおいしくもっちり蒸すためには、水をしっかり吸わせることが大事です。
もち麦はお米と同じようにでんぷん質なので、やわらかくする(糊化する)ためには、じゅうぶんな水と熱が必要です。
水を吸わせずに加熱すると表面のでんぷんは糊化しますが、中が硬いまま残りやすくなります。
また、麦は独特な匂いや酸味があります。これもしっかりと流水で水洗いし、水浸けをすることで和らぎます。
無理なくおいしく食べ続けたい、という方には「水浸けあり」がおススメです。
栄養成分の中には水に溶ける「水溶性」のものがあります。
もち麦の食物繊維も「水溶性食物繊維」のため、洗ったり、水に浸けたりすると、流れ出してしまう可能性があります。栄養素を逃さず全部食べたい!という方は、水洗いや水浸けをせずに食べるのがよいでしょう。
と言っても、もち麦はもともとの食物繊維量がお米に比べて多いので、洗ったり、水に浸けたりする時に流れ出す程度の量は、それほど気にしなくてもよいかもしれませんね。
2. お米ともち麦の吸水時間の違い
一般的にお米の吸水時間は30~60分だと言われています。
60分くらいでめいっぱいに水を吸いこんだ状態になるので、それ以上を超えてもほとんど水を吸わなくなります。
(データ:株式会社マルヤナギ小倉屋調べ)
お米と同じようにでんぷん質でできているもち麦ですが、その吸水時間はお米とは大きく異なっています。もち麦はお米に比べてゆっくりと水を吸い、3~4時間くらいまで水を吸い、そこからはほぼ横ばいになります。
3. おすすめの水浸け方法2つ
実際に、色んな方法でもち麦に水を吸わせてみたうえで、おススメの方法を2つご紹介します。それぞれ、仕上がりの食感や風味が違うので、お好みの方法を試してみてくださいね。
3-1. おススメ①:水浸け
麦のプチプチ食感や、麦本来の味や香りが好きな方におススメです。色も少し黄色っぽく、「麦を食べている!」という感じがします。
①流水でもち麦を洗う。
②常温の水に3時間~1晩、浸けておく。
※夏場などで室温が高くなることが心配な時は、冷蔵庫に入れておくとよいです。
※冷蔵庫で水浸けする場合は、時間は少し長めにするのがおススメです。
3-2. おススメ②:水浸け後、ゆでこぼし
ごはんのようにやわらかく、あっさりした味が好きな方におススメです。麦のにおいなどもほとんどなく食べやすいです。
①流水でもち麦を洗う。
②常温の水に3時間~1晩、浸けておく。
※夏場などで室温が高くなることが心配な時は、冷蔵庫に入れておくとよいです。
③炊く前に、熱湯にいれてすぐに火を止め、1~2分待つ。
④ざるにあけて湯を切り、流水で粗熱をとる。
4. 4種類の吸水方法と重量変化について
マルヤナギでは、おススメの2つを含め、様々な吸水方法を試しました。
そのうちの4つで、もち麦がどのように水を吸ったかをグラフにしました。
① 常温の水につける
② 常温の水につけた後、熱湯で2分ゆでこぼし、流水で粗熱をとる
③ 熱湯で2分ゆでこぼし、流水で粗熱をとった後、常温の水につける
④ 熱湯で2分ゆでこぼし、70℃のお湯につける
(データ:株式会社マルヤナギ小倉屋調べ)※水温などの条件で変化する場合があります。
①~④のすべてが元の重量の2.2倍くらいまで膨らみましたが、これを同じ条件で蒸してみると、食感や味には差があることがわかりました。
①水漬けのみ | ②水漬け→ゆでこぼし | ③ゆでこぼし→水浸け | ④ゆでこぼし | |
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吸水後のようす | 中まで水を吸って やわらかい | ぬめりがなく、 透明感がある | 少しぬめりが多い | ぬめりが多く 芯が残っている |
炊いた後の味 | 麦らしさが 程よく残る | 麦の香りは少なく、 あっさり | 麦らしさが残る | 麦のにおいや 酸味が強め |
炊いた後の食感 | もちプチしている | お米のような 柔らかさ | 少し硬め | 芯が残っている |