テレビで話題の短鎖脂肪酸とは?食物繊維と健康の関係、食事の実践方法も解説
私たちの健康を維持するためには、バランスの取れた食生活が重要です。そして今、特に注目したいキーワードが、最近テレビで取り上げられた『短鎖脂肪酸』と『食物繊維』です。これらがどのように健康に関係するのか、さらに毎日の食事に意識して摂りたい食材についてもご紹介します。
1. 短鎖脂肪酸とは?どんなはたらきをするの?
『短鎖脂肪酸』とは、大腸で腸内細菌が「食物繊維」を食べたときにできる代謝物で、「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」などの総称です。
『短鎖脂肪酸』は、基礎代謝の向上や免疫機能をコントロールすることがわかってきており、「健康」や「腸内環境」の最新キーワードとして注目されています。
短鎖脂肪酸のはたらき
①腸内環境を整える
②代謝をアップする
③体脂肪をつきにくくする
④腸のバリア機能を高め、病原体やアレルゲンの侵入を防ぐ
2. 短鎖脂肪酸を増やすには菌の「多様性」がカギ
では、短鎖脂肪酸を増やすにはどうすればよいでしょうか?
まずは、短鎖脂肪酸がどのようにできるのかを見てみましょう。
①短鎖脂肪酸の材料となるのは、食物繊維です。私たちが食べて大腸まで届いた食物繊維は大腸内に存在する「糖化菌」のエサとなり、「糖」が作り出されます。
②次に、その「糖」はビフィズス菌や乳酸菌のエサとなり、「酢酸」や「乳酸」が作り出されます。
③さらに、この「酢酸」や「乳酸」を餌として、酪酸産生菌やプロピオン酸産生菌が、短鎖脂肪酸である酪酸やプロピオン酸を作り出します。
※酢酸は、酢酸そのものが短鎖脂肪酸の一種として働く他、酪酸の材料にもなります。
このように、食物繊維やオリゴ糖などの腸内細菌のエサがスタートになり、様々な種類の腸内細菌がつくりだしたものをリレーのように受け渡して短鎖脂肪酸が作られています。このリレーの途中のどの過程が抜け落ちてしまっても、短鎖脂肪酸を作るリレーを最後まで走りきることができません。
たとえば、食物繊維を沢山摂ったとしても、ビフィズス菌などの酢酸酸性菌が腸内にいなければ酪酸の材料となる酢酸ができず、短鎖脂肪酸である酪酸は作られない、ということになります。
実際の腸内には多種多様な腸内細菌が生息し、働いています。特定の菌だけを摂取したり、増やしたりするよりも、様々な食物繊維をバランスよく摂ることでおなかにすむ腸内細菌の多様性を高めてあげることが大切です。
3. 菌の多様性を高める「発酵性食物繊維」
菌の多様性を高めるためには、腸内細菌のエサになる”食物繊維の種類”が重要です。腸内細菌の大好物は「発酵性食物繊維」です。腸内細菌のエサとなって発酵するタイプの食物繊維のことで、「水溶性食物繊維」のほぼ全てと、「不溶性食物繊維」の一部がこれにあたります。
野菜に含まれる食物繊維は、不溶性食物繊維が多いので水溶性食物繊維を多く含む食材を毎日コンスタントに食べましょう!
4.「発酵性食物繊維」を多く含む食材は?
テレビで話題の発酵性食物繊維を多く含む食材、それはズバリ”大麦“です。
大麦にはもち麦、押し麦、スーパー大麦などの種類がありますが、毎日コンスタントに食べやすいのは”もち麦”です。発酵性(水溶性)食物繊維量は、食物繊維を多く含むとされる根菜類と比べても多く、もち麦ごはん(主食)として食べられるので無理なく続けられます。白米の糖質が気になる方は、もち麦をスープに入れて食べたり、料理に加えたりしてもおいしく食べることができます。短鎖脂肪酸を効率良く増やすためにも、もち麦のある生活を始めてみませんか。
データ:もち麦…マルヤナギ小倉屋調べ その他…日本食品標準成分表2020年版(八訂)