節分の食育授業で、行事に込められた思いや知恵を子どもたちへ
鬼は外、福は内――節分に福豆を撒く風習は、「掃除がめんどう」「豆が硬くてキケン」といった考え方から敬遠されつつあります。
しかし、邪気を祓って一年間の無病息災を願うという節分の意味や、体に良い豆を食べるという風習は次世代に残したい・・・。マルヤナギは、兵庫県の小学校2校で、柔らかくて手軽に食べられる「蒸し豆」を使った特別給食や食育授業を実施しました。
日本の食卓に欠かせない豆どのくらい知ってる?
1月29日月曜日。
兵庫県小野市立中番(なかばん)小学校の廊下には、生徒たちを迫力満点の目つきでにらむ赤鬼さんが立ちはだかっていました。
鬼の視線をかいくぐって階段を進んでいくと、3年生の国語の授業「すがたをかえる大豆」で勉強した、大豆の加工品のことが詳しく掲示されていました。
キンコンカンコ~ン♪ さぁ、3時間目が始まります。
今日はマルヤナギの「節分と大豆」の特別授業。3年1組の生徒たちは朝からとても楽しみに待ってくれていたようです。
今日の先生は、マルヤナギの食育授業を担当する和夛泉季さん。
和夛さんは2007年から食育推進に携わり、和食給食応援団の取り組みで何度も中番小学校を訪ねています。
また、「キッズキッチン協会」のインストラクター資格を生かし、社内のキッチンスタジオで、子どもが主人公の料理教室「キッチンチャレンジ」の指導にもあたっています。
授業のテーマは、「節分と大豆」。
「節分にすることって何かな?」と和夛さんが問いかけると、子どもたちは声をそろえて、「豆まき!」と答えました。
お正月に黒豆を食べたかという質問にも、勢いよく手が上がります。子どもたちは、どのくらい「豆」のことを深く知っているのでしょう?
生徒ひとり一人に配られたのは、本物の豆のサンプルです。
大きさも、色や模様も、ぜんぜん違う6種類の豆。
「さぁ、どれが大豆かわかりますか?」
「これ~!」
「小さくて黄色いやつ」
和夛さんの質問に、みんなが元気いっぱいに答えます。
同じ種類の豆でも、比べてみると柄の入り方や色のバランスが、けっこう違うことがわかりました。
百聞は「一食」にしかず!?食べればわかる蒸し豆のおいしさ
次は、「加工品」についてのクイズです。
「これから見せる食べ物は、大豆から出来ている加工品か、そうじゃないか教えてね」
納豆、チーズ、みそ、しょうゆ、マヨネーズ、豆腐・・・etc。
両手で○や×をつくって答えました。
ちょっと迷ったものもありましたが、全問正解!すごいなぁ。
業の締めくくりは、お待ちかね「試食」の時間です!!
水煮大豆と蒸し大豆。どちらも味付けしていないけれど・・・
「こっちは、栗みたいに甘い味がする!」
「フォークを突きさすとき、こっちはクチャッとなって、こっちはムニュッってなる」
違いをみつけるたびに、先生やお友達に報告です。
「さぁ、どっちがおいしかったですか?」
ほとんどの生徒たちが、蒸し豆に軍配を上げました。
3. 楽しい体験とセットにすれば正しい知識が身につきやすい
2月2日金曜日。
場所は変わって、兵庫県明石市立山手小学校でも、「節分と大豆」の食育授業が行われました。今度は4年生(約170名)に向けた授業です。
「小正月や十三夜など、節分以外にも豆を使ったお料理を食べる日があるんですよ」
と、和夛さん。3年生より難しい内容になっていますが、「すがたをかえる大豆」で学んだことが生活を通じて知識として吸収されているのか、クイズにも自信たっぷりに手を挙げて答える生徒がほとんどです。
「しょうゆ工場にも見学にいったことあるよ!」
「去年、豆を土に植えて、みんなで育てたんだ」
社会見学や理科の観察などで、見て、聞いて、触れて経験したことは、本で読んだだけの知識よりも、より深く記憶に刻まれているようです。
また、「たんぱく質」や「カルシウム」など、大豆に含まれている栄養素のこともしっかり覚えていましたが、「食物繊維」のことはちょっぴり覚えにくいみたい。
腸内細菌のエサになる「食物せんい」も、第六の栄養素と呼ばれる大切な成分。
蒸し豆を食べるときには、思い出してくださいね。
恵方巻き&節分汁の特別給食 栄養たっぷりで鬼も病気もやっつけろ!
4時間目が終わると、廊下から「だし」のいい香りが漂ってきました。
蒸し豆がたっぷり入った味噌仕立ての「節分汁」が運ばれてきたからです。
大きな海苔に酢飯をのせて、たまごやき、ツナ、刻みたくあんと一緒に手巻きにしたら、南南東を向いて、恵方巻きをいただきま~す!
みそ汁の美味しさを吸い込んで、ますますおいしくなった蒸し豆は、やわらかくておいしくて、おかわり希望も続出!
「ねぇ、先生。歳の数より、たくさん食べても大丈夫?」
栄養たっぷりだから、安心して食べてくださいね。
そして授業の最後には、節分ソング「せーのでせつぶん」を歌いました。
鬼さん、さようなら~。和夛さん、ありがとうございました。
(株)マルヤナギ小倉屋 和夛泉季さんのお話
食育授業でいろいろな学校を訪問させていただきますが、みんな大豆のことをよくお勉強してくれているし、蒸し豆を「おいしい!」と言ってもらえて、とてもうれしいです。
節分のときに限らず、体に良い蒸し豆をどんどん食べてもらえたら・・・。
そのためにも、来年までにもっと節分や節分汁のことを知ってもらえるように、頑張りたいと思います。